『つむじまがりの神経科学講義』を読みました
脳の機能・働きについては興味があり本屋で面白そうだなと思ってこの本を購入しました。
神経科学という脳や神経のしくみを細胞・分子レベルで解明する学問について親しみやすい文章で解説されています。特に著者が研究していた「記憶」について詳細に記述されています。
第1章 神経系とは何か
第1章では神経系のなりたちや、興奮・伝達など基本的な知識を説明してくれています。このあたりは第2章以降を理解するのに必要なので理解しておいた方が良いと思います。個人的には授業で習ったことの良い復習になりました。
第2章 記憶のしくみ
この章からはシナプス結合の強さは変わりうるという神経伝達の可塑性へと話題が移ります。LTPやLTDという現象です。
それから著者の研究であるRISEという現象の発見について詳細に述べられます。この著者の研究に加えて、近年の記憶研究に対する著者自身の見解も述べられており、大変興味深い内容でした。
第3章 記憶の異常
この章では認知症、PTSD、サヴァン症候群さらにiPS細胞について触れられています。
認知症のところでは種類、分子細胞学的な原因(完全にはわかっていない)、治療について説明されてあります。認知症の予防にはやや強めの有酸素運動すなわち呼吸と鼓動が上がるぐらいの速歩や水泳が効果的だそうです。
特に第2章では理解するのに何度か読み直す必要があった内容があり、全体的に神経科学について詳細に書かれていて難しく感じるところも多かったですが、それでもわかりやすく、読みやすく書かれていました。内容的に読むとなるとハードルは高いのかもしれませんが著者が目指していたようにエンタメ要素は十分に含まれていたと思います。本当に読みやすくて面白い本でした。